帆船の帆に使われた帆布は、丈夫で通気性がよいという特長からテント地や画布などにも広く用いられていました。

けれども、汽船が帆船にとって替わり、さらに近年の化学繊維の普及で、今では帆布の需要は大変少なくなっています。かつては百を超えた帆布工場も、現在では全国で10ヶ所を数えるだけ。その残された数少ない帆布工場のひとつが今も尾道の向島で稼動しています。古くから港町として栄えた尾道にあっては、帆布工場は、町には欠かせない風景のひとつだったのですが･･･。

今、私たちは、この帆布を用いて、さまざまな服飾・日常品を創作し、皆様にお届けしたいと思っています。それは、かつて海に生きた人々の強くたおやかな心をよみがえらせ、海に育てられた町、おのみちの伝統を再生する試みでもあります。

この帆布はすべて綿糸によってしっかりと織りあげられています。木綿は土から生まれ土に帰るエコロジカルな天然素材です。

人々が帆に風を受けて海を渡った時代の自然と人間の暮らしのありように想いをはせながら･･･。

この作品をあなたのお手元に、いつまでも、置いて下さい。