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尾道
ぶらり尾道探検隊|
6年間に渡って取材した尾道の情報アーカイブです。情報が古いものもありますが、まだまだ使える情報が盛りだくさん。まずは読んでみてね。
2004年4月号:Vol.22
過ごしやすくなってきたら、脳を刺激しよう!!
尾道白樺美術館 特集
遅くなってごめんなさい。観光シーズン真っ只中で目が回ってます。頭も回っています。クルクル・・・。
今月は「尾道白樺美術館」の特集です。たまには(?)文化の香りが漂う特集もいいかな、と。
この美術館は市民みんなの力でできたと言っても過言でない美術館です。
ん〜、なぜかって? それは後でゆっくりとお話しましょう。ま、とりあえず「尾道白樺美術館」にレッツラゴ〜。
【浄土寺の近く。】
国宝を持つお寺「浄土寺」から国道2号線を渡ったところにこの美術館はひっそりと立っています。
2月号で特集した銭湯「金比羅湯」のななめ向かいになります。
周りを緑が青々とした竹が囲んでいて、建物にさらさらとしたやさしい木漏れ日を落としていました。
周りの景色に溶け込んでいるので少し注意しながら探してくださいね。
では中に…
中に入るとまず古民家の土間をイメージした受付や、静かな雰囲気をした板張りの廊下が目に飛び込んできます。なんか民家っぽいですね・・・。
それもそのはず、この建物、ホントに古民家を元にデザインされているんです。じゃあいったい誰のお宅なんでしょうか?
答えは初めに入った展示室にありました。
近代画家の歴史にキラリと輝く「梅原龍三郎」、その人のお宅でした。
あまり詳しくない方にはぴんと来ないかもしれませんが、美術を少しでもかじったことがある方はその偉大さがよく分かるんじゃないでしょうか。
ルノワールやピカソとも親交があったようです。またルオー直筆の手紙も展示されています。
歴史や美術の教科書でしか見たことがない担当Dにしてみれば、本人の直筆の手紙というのはなんだか親近感が湧いてしまいました。
でもここで、少し疑問が湧いてきました。なんで「梅原龍三郎」画伯のお宅なの?
実は…
【市民の力で…】
もともとこの美術館が建つ前、ここには高層マンションが立つ計画になっていたんです。
皆さんも知ってるように尾道は昔ながらの街並みが残っているんですが、そこにマンションが建つと景観台無し。
そこで「そりゃ、いかん!」と地元の方たちが署名活動をしたり、土地を買収したりして、ついにはマンションの建設を白紙に戻すことに成功。やったね!
でもたくさんの借金が残りました。
空き地もどうしよう・・・、などと悩んでいたところ、地元尾道出身の画商、吉井さんが自ら運営する山梨県の「清春白樺美術館」の分館を自費で建てよう、ということになりました
その「清春白樺美術館」は「清春芸術文化村」の中にあり、同じ敷地内に梅原画伯のアトリエがあったんですね。で、めぐりめぐってこの地に梅原画伯の住居をモデルにした美術館が建つことになりました。
ちとややこしいですが、「とにかくたくさんの地元の人が一所懸命がんばって建てた美術館だ」ってことだけ押さえてもらえればありがたいです。
【白樺派って?】
白樺派の特徴はそれを支えている人たちが東京帝国大学の生徒(中退含む)や高等科に在学中の青春真っ只中の生徒によって構成されていました。
彼らは豊かな家庭にのびのびと育ち、作風も自由にのびのびと展開しました。
そういった青年たちによって発行された文芸雑誌「白樺」では文学ばかりでなく、ゴッホ、ルノワールなどの後期印象派の画家を積極的に日本に紹介しました。
初めてそれに触れた当時の若者は「こりゃすげえ」と強烈な刺激を受け、大いに心を揺さぶられたそうです。
代表的な作家としては、尾道にもゆかりがあり、「暗夜行路」で有名な「志賀直哉」、「武者小路実篤」、「木下利玄」など。
【最後に…】
尾道白樺美術館の土屋さん、山田さんにお話を伺いました。
「たくさんの方に訪れていただき、作品を鑑賞してもらいたいです。
また、4月29日〜7月11日まで「岸田劉生と岸田麗子二人展」が開催されるのでぜひおこしください」ということでした。
今回はちとばかり堅苦しい内容になったんですが、少しでも興味を持ってもらえたでしょうか?
ま、自分の目で作品を見てもらえれば、当時の作家たちの息遣いを感じることができると思いますよ。
【尾道白樺美術館データ】
休館日: 毎週火曜日(祝日の場合は翌日
アクセスマップ
開館時間: 9:00〜17:00
入館料: 一般800円(700円)
大・高校生700円(600円)
中・小学生500円(300円)
( )は15名以上の団体料金
住 所: 尾道市久保3−4−11
お電話: 0848−20−7300